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2020. 9.19
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Ver. 1. 0
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公開初版
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1 はじめに
平型のセレン整流器を入手しました。富士電機製造製で型番としてKc1.3b22/2と表記してあります。しかしながら、定格が全く分かりませんでした。いろいろと調査した結果、富士電機製造が技術提携していたSiemensのセレン整流器の定格から下記が判明しました。
2 Kc1.3b22/2の定格
最初に結論を示すと次のようになります。
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形式:Kc1.3b22/2
メーカー:富士電機製造
定格:60V 500mA
本体外寸:35W×46H×6T |
3 解説
1950年代から1960年代にかけて、セレン整流器は全盛を極めました。真空管方式よりは内部電圧降下が小さいこと、ヒーター電力が不要であること、セレン整流体を直列接続するだけで耐電圧を容易に増やせることから、整流、逆流阻止、サージ吸収といった目的で、産業用整流装置、高電圧電源装置、電車の制御回路、真空管式テレビの電源整流回路・高圧整流回路、バイクの充電回路、鉄道模型の電源装置、テスターの整流回路など大変多くの応用分野で大量に使用されました。1970年代以降は、シリコンダイオードが急速に発達したため、生産量が急減し、日本では1984年9月以降は、製造されなくなりました。
さて、上記のようなセレン整流器が破損したとき、定格がわからず、シリコン整流器で代替する際にしても困ってしまいます。そこで、判明した範囲を下記に示します。
型名の例:Kc1.3b22/2
表記 |
意味 |
Kc |
セレン整流体を複数個、アルミニウムケースに収納した外形 |
1.3 |
正方形のセレン整流体の辺の長さ(mm)
0.6、0.8、1.3、2.7の4種類があり、大きいほど電流容量が大きくなる。
しかし、直列数が多くなると発熱量が増大することから全体としての電流容量は小さくなっていく。
「.」は、現品では「,」となっています。
0.6:100-125mA
0.8:150-300mA
1.3:140-500mA
2.7:500-1000mA |
b |
整流体の単体特性で逆方向耐電圧
a:20V/整流体1個あたり
b:25V/整流体1個あたり
s:aの長寿命タイプ
c:bの長寿命タイプ |
22 |
内部回路の構成
11:整流体1素子のみ
21:整流体が2素子で、倍電圧整流回路用
22:ブリッジ整流回路 |
/ |
区分け記号 |
2 |
整流体の直列数 |
4 おわりに
定格が判明したものの、すぐにどこかに使用するあてもありません。
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