CT6850の改造
アクセスカウンター
[PC-9821とグラフィックスに戻る]  [トップページに戻る]
2021. 9.20 Ver. 1. 3 カウンタ再開
2010.11. 8 Ver. 1. 2 カウンタ廃止
2005. 2.13 Ver. 1. 1 再現性チェックの結果、内容修正
2005. 2. 6 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに
 IO_DATA製のグラフィックボードGA-SV408を使用していたのですが、ある日突然映らなくなってしまいました。クロックアップなど酷使したわけでもなく、当たりが悪かったとしか言い様がありません。今時、PC-9821用のグラフィックボードは入手困難なため困っていたのですが、たまたま、同じグラフィックチップであるSavage4を使用したPC/AT互換機用PCIグラフィックボードCT6850(Creative社製 )を入手できたので、これをPC-9821用に転用する改造をしてみました。その顛末をご紹介します。
 なお、ドライバーソフトの著作権については、両方のボードを保有していることと、片方のドライバーソフトを2枚のボードに同時に使用していないと言うことから問題なしと判断しました。
 
2 改造
 PC/AT互換機用グラフィックボードをPC-9821シリーズで使用するには、何らかの方法でボード上のBIOS_ROMの動作を停止させなければなりません。
 まず、BIOS_ROMの無効化を図ります。CT6850のBIOS_ROMは、SST社のEEPROMである29EE010であり、基板に半田付けされています。将来PC/AT互換機で使用することも考え、SST社29EE010のCE#pinにより、動作モードを変更することにしました。具体的には、CE#pinを切断します。
 改造前のCT6850です。
 ボード上のBIOS_ROMは、SST社のEEPROMである29EE010です。
 CE#pinは、左図の位置です。

CE#:CHIP_ENABLE(チップの動作をする/しないの設定。このpinを接地すると動作し、+5Vに抵抗を介して接続すると動作停止します。)


 実場面では、特に小型の精密ニッパーで CE#pinを切断します。完全には切断できず、細くなるだけでしたので、カッターナイフの刃先で細くなったpinを少しずつ削り取っていきます。刃先でプリント基板のパターンを切断しないよう、相当慎重に作業します。ほぼ切断できた時点で、針を用いてボード側に残ったCE#pinの部分に左右方向の力を加え続けると、パターンからポロッととれます。
 
カッターナイフの刃先がCE#pin周辺のパターンを傷つけるとボードが動作しなくなります。
 作業時間は、20分程度かけました。使用する道具により、かなり左右されると思います。
 CE#pinをカットしてあるのが判るでしょうか?
 
 次に、CE#pinのプルアップです。もともとこのCE#pinは常時接地され、チップの動作が有効となっていますが、これをHレベルにプルアップすることにより、チップ自体はSTAND_BYモードとなり、動作を停止します。パターンから切断したCE#pinの処理ですが、最初は抵抗(3.3kΩ)で+5Vにプルアップする予定でしたが、面倒なので切り離したまま通電したところ、PC-9821Xa10/K12 (G8VWV)で正常動作しました。しかし、その後、PC-9821Ra266/W30Rで使用していたところ、3時間に一回程度、フリーズしたり、画面表示が乱れる場合がありました。どうやら、CE#pinを開放していたため、ここから雑音を拾い、誤動作したようです。そこで、9.09kΩの固定抵抗器で+5Vにプルアップし、安定動作となりました。
 将来、PC/AT互換機で使用する場合は、切断したCE#pinと基板のパターンとを再半田すればOKです。

 9.09kΩの固定抵抗器で+5Vにプルアップします。抵抗の値は、多分1kΩから10kΩの間であれば、良いでしょう。左図のようにして取り付けます。
 実際の画像です。
 完成しました。
再現性を確認するため、別のCT6850でも実施しました。
2枚とも安定動作しています。

3 使ってみたら
 改造後、PC-9821Xa10/K12(G8VWV)+Windows98SEで動作確認し、PC-9821Ra266/W30Rで使用しています。ドライバーは壊れてしまったIO_DATA社のGA-SV408に添付されていたものを使用しました。CT6850はメモリーが32MBもあるため、1280×1024のFULL_COLORで使用でき、とても快適です。

[PC-9821とグラフィックスに戻る]  [トップページに戻る]