PC-VL300/FDの電源修理
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2012.11.11 Ver. 2. 0 2台目の事例追加
2011. 5.22 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに
 起動しないPC-VL300/FDのJUNKが\1050で販売されていました。MEMORYや光学ドライブ、CPU、HDDも全て付属しているとのことでしたので、速攻で購入し復活させましたのでその顛末を示します。
 その後、起動しないPC-VL300/FDがまた販売されていました。前回のこともあるので、修繕できると判断し購入しました。こちらも電解コンデンサを交換して復活しました。
 この機種の電源には構造的欠陥があり、はんだ付けのできる人は簡単に修理でき、幸せになれるかもしれません。
 後継機のPC-VL300/GDも同様であり、ご紹介した方法で復活ができると思います。

2 PC-VL300/FDの概要
 このPCの概要は下記の通りです。
項    目 仕    様
CPU インテル(R) Celeron(R) D プロセッサー 346
クロック周波数 3.06GHz
キャッシュメモリ 1次 12Kμ命令実行トレース/16KBデータ
2次 256KB
バスクロック システムバス 533MHz
メモリバス 533MHz
チップセット ATI社製 Radeon(R) Xpress 200 / IXP450
メモリ
(メインRAM)
標準容量 標準512MB(512MB×1)
スロット数 DIMMスロット×2[空き1]
最大容量 最大2GB*6[DDR2 SDRAM、PC2-4200対応]
表示機能 ビデオRAM 64MB
グラフィックアクセラレータ ATI社製 Radeon(R) Xpress 200に内蔵





800×600ドット 最大約1,619万色 (本体添付ディスプレイのみ)、最大約1,677万色 (アナログディスプレイのみ)
1,024×768ドット 最大約1,619万色 (本体添付ディスプレイのみ)、最大約1,677万色 (アナログディスプレイのみ)
1,280×1,024ドット
最大約1,619万色 (本体添付ディスプレイのみ)、最大約1,677万色 (アナログディスプレイのみ)
1,600×1,200ドット 最大約1,677万色 (アナログディスプレイのみ)
サウンド機能 音源/サラウンド機能 インテル(R) High Definition Audio 準拠、3Dオーディオ(Direct Sound 3D対応)、ソフトウェアMIDI音源、マイクノイズ除去機能
スピーカ 添付の液晶ディスプレイに内蔵(ステレオ)
スピーカ定格出力 ステレオ(1W+1W)
通信機能 LAN 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応
入力機器 キーボード PS/2小型キーボード(109キーレイアウト準拠、ワンタッチスタートボタン付き)
マウス 光センサーPS/2マウス(スクロール機能付き)
フロッピーディスクドライブ なし- 【別売、専用オプション(型番:PC-AC-DU001C)】
ハードディスクドライブ 約250GB(Serial ATA、高速7,200回転/分)
CD/DVD
ドライブ
CD/DVDドライブ  松下寿のSW-9587-Cが使用されていました。
DVDスーパーマルチドライブ(DVD-RAM/R/RW with DVD+R/RW)内蔵(バッファアンダーランエラー防止機能付き) [DVD-R/+R 2層書込み]
速度 DVD-RAM読出し:最大12倍速、DVD-RAM書換え:最大12倍速、DVD+R(1層)書込み:最大16倍速、DVD+R(2層)書込み:最大8倍速、DVD+RW書換え:最大8倍速、DVD-R(1層)書込み:最大16倍速、DVD-R(2層)書込み:最大4倍速、DVD-RW書換え:最大6倍速、DVD読出し:最大16倍速、CD読出し:最大40倍速、CD-R書込み:最大40倍速、CD-RW書換え:最大10倍速
インターフェイス USB コネクタ4ピン×6[USB2.0]
ディスプレイ(アナログ) ミニD-sub15ピン×1
PS/2 ミニDIN6ピン×2
LAN RJ45コネクタ×1
サウンド関連
インターフェイス
ライン入力 ステレオミニジャック×1
ライン出力 ステレオミニジャック×1
マイク入力 ステレオミニジャック×1
ヘッドフォン出力 ライン出力と共用
ベイ 5型ベイ:1スロット(DVD/CDドライブで占有済)[空き0]、内蔵3.5型ベイ:1スロット(ハードディスクドライブで占有済)[空き0]
電源 AC100V±10%、50/60Hz
消費電力 標準 約69W
最大 約144W
エネルギー消費効率 P区分 0.00025(省エネ基準達成率:AAA)
電波障害対策 VCCI ClassB
温湿度条件 10 - 35℃、20 - 80%(ただし結露しないこと)
外形寸法 本体(突起部除く) 66(W)×341(D)×352(H)mm
本体(スタビライザ設置時) 188(W)×341(D)×352(H)mm
キーボード 396(W)×172(D)×35(H)mm
質量 本体 約8.2kg
キーボード 約900g
マウス 約82g
インストールOS Windows(R) XP Home Edition Service Pack 2 正規版 (日本語版)
サポートOS Windows(R) XP Home Edition Service Pack 2 正規版 (日本語版)
補足情報 【表示機能 ディスプレイ】:17型(スーパーシャインビューEX液晶)[F17R61]、【ハードディスクドライブ Windows(R) システムから認識される容量 Cドライブ/空き容量】:約215GB/約202GB、【ハードディスクドライブ Windows(R) システムから認識される容量 Dドライブ/空き容量】:約6.5GB/約4.8GB、【サウンド機能 サウンドチップ】:RealTek社製 ALC262搭載

3 PC-VL300/FDの問題点

 PC-VL300/FDの問題点は電源ユニットです。幅66mmの筐体とするため、特注仕様の薄型電源ユニットを使用しており、熱がこもりやすく、内部の電解コンデンサが劣化・液漏れし、短期間で起動不能となってしまうのです。
 このような場合の症状は、電源スイッチを押すと電源表示の緑色LED(電源スイッチの左側)が高速(1秒間に5回以上)で点滅する状態です。
 したがって、起動不能の場合は、内部の電解コンデンサを交換するか、別の電源ユニットに交換すれば正常動作する可能性が高いのです。形式名
PC-VL300コンデンサ電源などと入力して検索すれば、修理事例が多数あることが判ります。

4 修理事例
 早速修理事例を示します。
1台目
 外観は大変綺麗でした。
 内部の様子です。入手時、内部部品は全てありました。

 M/BはMSI社のMSI-7247 Ver.2.0でNECのP/NはG1BMYです。
 右奥が後述する電源ユニットです。
形式:TG-2005
INPUT:AC100-120V 5.0A

OUTPUT:+3.3V/11.0A +5V/9.5A +12V/13.0A 
       -12V/0.2A +5VSb/1.5A
      +3.3 & +5V 75W  +3.3 & +5 +12V
 total 190W
   MAX OUTPUT 190W
 電源ユニットを取り外し、内部の電解コンデンサを見ると液漏れであることがすぐに判りました。電解コンデンサの頭頂部から黒い液漏れ跡が見えています。
 青い電解コンデンサの頭頂部の右側に黒いゴムのように見えるものがそうです。左の小さい黒いものは、製造時のチェックに使用したマジック印です。
 電解コンデンサは全て台湾JAMICON社のWGシリーズが使用されていました。
 不良電解コンデンサを取り外すと電源基板側にも黒い液漏れ跡があります。青いのは電解コンデンサの外装の一部です。
 後に続く方々のために交換すべき電解コンデンサの一覧表を示します。注意点は、交換に当たって直径が同等以下でPCマザーボード用やスイッチング電源用、低ESR、高温用電解コンデンサ(105℃)を使用することです。一店舗で全て揃わないことが多いので、複数の電子部品販売店舗を回って探すことになると思います。探すときには定規やノギスが必需品です。長さは少々長くても取付可能です。メーカーにより、大きさが異なるため注意が必要です。また、入手できないからと言って、一般用の電解コンデンサを使用するとすぐに液漏れ破損を起こします。私は、記事欄のものを使用しました。C115は容量が多少大きくなっていますが、これは同一容量のものが入手できなかったからです。耐電圧が高いのは構いませんが、外形が大きくなります。


位置 容量
(μF)
耐電圧
(V)
直径
(mm)
長さ
(mm)
記事
C102 3300 16 12.5 31.5 nichicon PWシリーズ
C104 2200 10 10 27 nichicon HZシリーズ
C106 2200 6.3 10 27 nichicon HZシリーズ
C107 2200 6.3 10 27 nichicon HZシリーズ
C114 1000 10 8 20 nichicon HZシリーズ1000μF16V使用
C115 470 16 8 15 nichicon HZシリーズ680μF16V使用



2台目の事例
  内部の様子です。入手時、HDD以外の内部部品は全てありました。

 M/BはMSI社のMSI-7247 Ver.1.0でNECのP/NはG1BMYです。
 右奥が後述する電源ユニットです。
形式:TG-2005  REV.A1
INPUT:AC100-120V 5.0A

OUTPUT: +3.3V/11.0A +5V/9.5A +12V/13.0A 
       -12V/0.2A +5VSb/1.5A
       +3.3 & +5V 75W  +3.3 & +5 +12V total 190W
       MAX OUTPUT 190W
 前項から、HDDを取り付ける左上の金属フレーム、リアパネルと光学ドライブ取付フレームを連結する金属板を外すとこのようになります。
 電源ユニットからの全ての配線と、リアパネルの電源固定ビスを外します。そして、電源ユニットをフロントパネル側に少し滑らせて上に抜き取ります。
 光学ドライブへのケーブルも外しておいた方がよいでしょう。
 電源ユニットのTG-2005です。この電源は、LEAD YEAR ENTERPRISE CO.,LTD製です。
 ビスを外して蓋を開けるとこのような状態です。
 ぎっしりと配線と部品が見えます。
 絶縁物を外します。
 基板を少し持ち上げると、隙間から内部の電解コンデンサが見え、液漏れであることがすぐに判りました。電解コンデンサの頭頂部から黒い液漏れ跡が見えています。
 分解に先立ち、白い樹脂製の束線バンドであるタイラップを切断します。 これで基板を持ち上げることが簡単になります。
 ACソケットを外さないと内部基板を取り出せません。白い接着樹脂を注意深く撤去します。千枚通しのようなもので作業すると良いでしょう。
 ACソケットが外れました。
 基板を起こします。横に寝かせてある電解コンデンサの頭頂部が膨らんでいます。
 このコンデンサは1000μF10Vですが、静電容量は443μFに低下していました。
 黒く液漏れした電解コンデンサが多数あります。
 中央左の電解コンデンサの小さい黒いものは、製造時のチェックに使用したマジック印です。その右の大きい電解コンデンサは多量に漏れています。
 電解コンデンサは全て台湾JAMICON社のWGシリーズが使用されていました。
 電解コンデンサは全数交換が望ましいです。
 中央上部のコンデンサは3300μF16Vですが、静電容量は791μFに低下していました。
 こちらの基板の電解コンデンサも頭頂部が膨らんでいますが、液漏れはしていません。
 M/Bをよく見ると、CPUのそばの電解コンデンサから液漏れしています。日本ケミコンのKZGシリーズの3300μF 6.3Vでした。高温で使用すれば、日本製でも劣化するという事例です。
 頭頂部から液漏れが始まっています。
 取り外して測定すると2460μFに容量が低下していました。
 
以上の修理のために使用した電解コンデンサのリストを下記に示します。


位置 容量
(μF)
耐電圧
(V)
直径
(mm)
長さ
(mm)
記事
C101 1000 10 10 16 nichicon PWシリーズ
C103 3300 16 12.5 31.5 nichicon PWシリーズ
C104 2200 10 10 27 nichicon HZシリーズ
C106 2200 6.3 10 27 nichicon HZシリーズ
C107 2200 6.3 10 27 nichicon HZシリーズ
C112 220 25 8 20 nichicon HZシリーズ
C115 470 16 8 15 nichicon HZシリーズ680μF16V使用
 注:2台目の機体では、M/BのCPU横に付いている下記の電解コンデンサも交換しました。
位置 容量
(μF)
耐電圧
(V)
直径
(mm)
長さ
(mm)
記事
C107 3300 6.3 10 26 nichicon PWシリーズ
C108 3300 6.3 10 26 nichicon PWシリーズ


5 終わりに

 電解コンデンサ交換により正常動作となりました。電源不良により、HDDが何度も突然の電源切断にあっていると思いますので、1台目のVL300では新品に交換しました。実際に使用してみますと、電源部の排熱温度が高く、無理のある設計となっていることが感じられます。
 互換性のある電源としては、デルタ社のDPS-160SBがあるようなので、見つけ次第確保しておくのも良いでしょう。

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