NAS-4000
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2010.11. 8 Ver. 2. 0 カウンタ廃止
2009. 7.21 Ver. 1. 5 NAS関係に分離
2008. 9.21 Ver. 1. 4 誤記訂正、内容追加
2007. 4. 7 Ver. 1. 3 表の誤記訂正
2007. 1. 6 Ver. 1. 2 内容追加
2006.12.23 Ver. 1. 1 内容追加、カウンタ誤記訂正
2006.12.17 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに
 以前から大量のデータを確実に保存する方法について検討してきました。初期には、重要データを数枚のCD-Rに保管していましたが、容量的に不足するようになり、メディアをDVD-RAMに変更したもののデータの急速な増大には追い付きませんでした。
 近年は、先代のメインマシンをファイルサーバーとして使用し、内蔵した複数のHDDに同一のデータを保存するようになりました。そして、ときどき手動でデータを複数の内蔵HDDにコピーしてきました。しかし、この方法では、意識してバックアップを行わなければなりません。また、ファイルサーバー機はWindows98SEでしたので、電源を投入してから使用できるようになるまで数分を要しますし、立ち上げ時及び電源遮断時に一定のキー操作を行わなければならず、このためのキーボードやモニターも必要となりかさばります。そこで、NAS(Network Attached Storage)の導入を検討開始しました。

2 NASの条件
 NASの導入にあたって、満たすべき私の条件は次のとおりです。
  (1) 少なくともRAID1(MIRRORING)が行われること
  (2) PC-9821シリーズ、PC/AT互換機を同時に接続して使用可能なこと
  (3) Windows98SE、Windows2000、WindowsXpの各OSで接続できること
  (4) データ容量が160GB以上であること(RAID1時)
  (5) 本体との接続方式はイーサネット(100BASE-T)であること
  (6) HDDはトレイ方式で筐体を開けることなく前面から交換可能であること
 このような条件で探すと、BUFFALOのTeraStation PROシリーズの
TS-HTGL/R5、TS-TGL/R5、HS-DTGL/R5、HD-HTGL/R5、IO-DATAのLANDISK TeraシリーズのHDL-GT、HDLM-GWIN、HDLM-Uとなります。また、(6)をあきらめれば白箱(挑戦者)が候補となります。また、(5)をあきらめれば、安価なUSB接続の機種が多数候補に追加できます。

3 NAS-4000の導入
 悩んでいた矢先、偶然ですが、ICP Electronics Inc.(iEi)社のNAS-4000を入手しました。これはDISK ONLINE SERVERの愛称がついているNASであり、上記の(4)以外の条件を満たすことから導入を決めました。このNAS-4000シリーズは、台湾で大量に生産されたもののようで、国内では三菱電機やプリンストンなどが取り扱っていたようです。また、海外(アメリカ、ロシア、イギリス、ブラジル、ポーランド、イタリア)でも多くのディーラーがいたようです。
正面 フロントカバーを開けたところ
HDDトレイは4段
電源はホットスワップ対応
冗長化ATX電源

バックプレーンボード
上からM/B、トレイ用ソケットが4段
上面のM/B。64MB_SDRAM、CPU  

 さて、主要緒元は下記のとおりです。
形  式 NAS-4000
メーカー ICP Electronics Inc.(iEi)   QNAP
タイプ ミニタワー
CPU GEODE GX-1 300MHz (National Semiconductor)
RAM 64MB-128MB (100MHz)
ネットワーク
転送プロトコル
TCP/IP、NetBEUI、IPX、Apple Talk
ネットワーク
ファイルプロトコル
Microsoft Networks(CIFS/SMB)、Apple(AFP)、UNIX(NFS)、Novell Netware
ネットワーク
セキュリティ
Microsoft Domain Controller(PDC)
ネットワーク
クライアント
Microsoft Windows95/98/ME/NT4.0/2000/XP、Macintosh System 7.5+、Linux/UNIX、Novell Netware
ネットワーク
スタンダード
自動検知 10/100Base-TX、RJ-45自動切替
ポート 10/100 Mbps イーサネット x 1
LED 電源、エラー、ネットワークアクセス、ディスク
IPアドレス割り当て DHCPによるIPアドレスの自動取得または固定IPアドレスを選択可
HDC PDC20262 (PROMISE)  ATA66
HDD IDE HDD(137GB以下) x 4 
ファイルシステム RAID1、RAID0、JBODのいずれか
システム管理 Webベースの管理、SNMP、ディスクエラー解析(S、M、A、R、T)、E-Mailアラーム、LCDパネルディスプレイ、アラームブザー、OSのアップグレードが可能
設  定 WebベースのGUIによる管理、NAS Genieユーティリティ
対応言語 英語、日本語、中国語、主なヨーロッパ系言語
寸  法 380(L) x 180(W) x 240(H)mm
認定規格 UC、CE、FCC
動作温度 0〜45℃
電  源 リダンダント/ホットスワップ可能ATX電源、AC100〜240V ×2台

 早速、設置を開始することにしましたが、本体のみ入手したため、肝心のマニュアルがありません。ネット上を検索して日本語版と英語版のマニュアルを入手しました。
 なお、PCショップ等で入手可能な業務用中古NAS類のマニュアルは意外に入手できません。中古でNASを入手しようと考えている人は、先にマニュアルの入手の可否を調べて購入条件としたほうがよいでしょう。
 さて、入手したNAS-4000のマニュアルは50-60ページ程度のもので、ページ数は多いものの文字が大きく、一般のPC周辺機器に比べれば、情報量が圧倒的に少なく判断に迷うことが多々生じました。また、入手したNAS-4000は搭載プログラムが英語バージョンであり、この点でも時々困ることになりました。

4 HDDの取付

 入手したNAS-4000にはHDDが搭載されていませんでした。HDDの取付方などはマニュアルには書いてありません。常識の範囲で対処しろと言うことでしょう。そこで、取り敢えずMASTER設定したHDDを1台取り付けました。ここで、取り付けるHDDは領域確保済みとするのか、さらにフォーマット済みとするのか、よく判りません。電気的に壊れる心配はないと思いましたので、領域も確保されていないHDD(FB3.2SE)を取り付けました。
 そして、ハブを介してNAS-4000を既存の自宅内ネットワークに接続します。なお、既存のネットワークは、ADSL_MODEM→ルーター→ハブ→各PCという単純な構成です。
 さて、NAS-4000の電源スイッチを入れるとワンテンポ遅れて電源が立ち上がり、フロントパネルの液晶ディスプレイに表示が出ます。そして、約2分後には、下記のような表示となりました。
NAS4000 01/01
192.168.0.8 12:34
 NAS-4000の各種設定は、IE5.5以降のブラウザにより可能とマニュアルにありましたので、液晶ディスプレイに表示されているIPアドレス192.168.0.8を入力しました。なお、このIPアドレスは、ネットワークに接続されている機器の中にDHCPサーバーがあると、自動的にアドレスが割り当てられます。私は、ADSLモデム→ルーター→各PCというように接続していますので、ルーターにDHCP機能があることになります。周辺機器の電源投入順序を変えると末尾の割り当て番号(この場合は、「8」)が変わるため、使いにくいことがあります。
 さて、次に初期メニューがブラウザ画面に表示されました。このメニューのなかに領域確保、フォーマットがあり、選択して実行可能であることを確認しました。メニューからこれらを選んで、HDDが使用可能となりました。なお、この段階で使用したHDDはPC/AT互換機で使用していたものです。

 つぎに2台目のHDD(FB3.2ST)を取り付けることにしました。同一形状のトレイが4段あったため、これもMASTER設定して取り付けました。そうするとデバイスとして認識もされませんし、1台目のHDDの形式名称であるFB3.2SEの部分が文字化けして ?!!!!???/ などと表示されます。悩んだ末、一般的なATAインターフェイスICには1チップ当たり4台までしか接続できないことを思い出し、1台目はMaster、2台目はSlaveというように設定して、やっと2台とも正常に認識させることができました。このことは説明書には全く記載されていません。不親切ですが、専門家が設置する機器ですのでこれでもよいのでしょう。

 今度は、本格的に整備するため、より大容量のHDDを搭載することにしました。例によって段階的に進めることにします。まず、1台目としてWD製のWD1200JB(120GB、7200RPM、8MB)を取り付けます。これはPC/AT互換機に使用していたものです。メニューからフォーマットを選択し、アクセス権を設定して使用可能となりました。適当にファイルを書き込み、他のPCから読み書きできることを確認します。
 次に、2台目にはWD製のWD1200AB(120GB、5400RPM、2MB)を取り付けました。電源を投入してメニューからHDDの管理を選びます。RAID1設定とすると2台目のフォーマットが自動的に行われます。ブラウザからHDDの状態チェックを選び、表示させると「Rebuilding 12%」などと表示されます。100%となるにはかなりの時間が掛かりそうです。
 HDDが完全にミラーリング状態となるために、どれぐらいの時間がかかるかはケースバイケースなのであまり示されていません。今回、120GBのHDDの場合について実測したところ、下記のようになりました。
  120GBのRebuilding  4時間15分
 さて、いよいよ、本格的にファイルサーバーとして設定することにします。NAS4000自体はネットワーク接続されたHDDですので、まず、PC内蔵のHDDにおける領域確保に相当する操作が必要です。メニューから領域確保を選択し、DRIVE1とDRIVE2という名前の領域を確保しました。この利用可能な2つの領域の大きさは、特に指定しないと2台のHDDのうち容量の少ない方の値となるようで、それぞれ105GB程度となりました。これは、容量を指定しなければ、DRIVE1とDRIVE2という二つのネットワークドライブができ、それらの領域を合計して105GBということです。

5 アクセス権の設定
 NAS-4000とケーブルを接続しただけでは、データにアクセスできません。各PCをクライアントとしてユーザー設定する必要があります。メニューからUSER MANAGEMENTを選び、設定しました。次に、NETWORK SHARE MANAGEMENTを選んでフルアクセスかリードオンリーかアクセス禁止かを設定していきます。
 完了すれば、各PCからはマイネットワーク→ワークグループ→NAS-4000の順に選び、ネットワークドライブとして設定します。

6 使ってみて
  1. 騒音問題
     NAS-4000は信頼性を維持するため、強力な冷却ファンを持っています。この冷却ファンが大変大きな音を発生させます。今まで使用したPCや周辺機器をはるかに越える動作音が発生し、家庭用の小さな換気扇レベルの音が出るのです。家庭用としてはとてもうるさく使用に耐えません。
     NAS-4000に内蔵の冷却ファンは大きさが120×120×25、負荷時の回転数は3800RPMでした。騒音が我慢できないため、冷却性能は低下しますが、低騒音のファンに交換することにしました。交換にあたって注意しなければならないのは、NAS-4000はファン回転を常時監視しており、停止するとアラームを鳴らすようになっていることです。警報発生のスレショルドが何RPMに設定されているか判りません。取り敢えず1000RPMの3線式FANに交換してみました。起動して数分するとFANが回転しているにもかかわらず、回転数が0RPMであるとして異常のアラームが連続鳴動します。どうやら3線式であっても所定の信号出力がファンから出ていないのか、回転数判定のスレショルドが1000RPM以上のようです。さらに、別のFANを購入し、テストしてみました。今度は2400RPMです。これも異常のアラームが鳴動しました。

     仕方がないので、FANを元に戻して騒音が大きな状態で使用継続です。
     その後、ふと思い立ってこんなことをしてみました。もともとの筐体ファンの場所に低騒音のファンを取り付け、電源自体は別から取ります。これに加えて、Pentium時代の3線式小型ファンを取り付け、このケーブルを筐体用ファンのコネクターに取り付けます。これで、M/Bから見たときは高速ファンがついているように見え、一件落着です。その後、回転数を調整可能な冷却ファンを接続してスレショルドを確認したところ、約2800rpmでした。
  2.  騒音の大きな12cmファンです。
     無負荷では3800-4000rpmで回転します。
  3. Rebuild
     当たり前のことなのですが、HDDをミラーリングするため、1台目に合わせて2台目に同一データを書き込みます。このプロセスがrebuildです。電源を投入するごとにrebuildが行われます。
     本来、NASは常時電源を入れっぱなしであるため、一旦rebuildが終われば、完全にミラーリング状態で新規書き込みが行われます。しかし、家庭では常時電源を入れっぱなしにするわけには行きません。一旦電源を切りあとで電源の再投入をするとrebuildを最初から行うことが判りました。rebuild中はミラーリングが完了していないということですので、データの保全が行われません。これでは、何のためのNAS導入であったのか判りません。
  4. PC-9821で使用していたHDDの使用
     PC-9821/9801で使用していたHDDをPC/AT互換機に接続すると、論理ドライブとして認識されなかったり、起動ドライブとて使用できなかいことがほとんどです。しかし、NAS-4000では、PC-9821で領域確保され、フォーマットもされているドライブを接続後、メニューからフォーマットを選択し、データを保存することが可能でした。
  5. 異常時の動作
     異常時には予め指定したメールアドレスに警報を送信します。したがって、中古で入手したときには、この部分を書き換えておかないと、以前の所有者に警報が送信されることになります。注意すべき点といえます。
  6. NAS-4000の設定は、ブラウザから行います。ブラウザについては、仕様上、Internet Explorer5.5以上となっていました。実験の結果、Netscape Navigater6.1でも正常に各種の設定ができました。
  7. HDD容量と実際の記録容量
     本格的なデータ保存に先立って、疑問点を解消しておく必要があります。そこで、各種の予備実験を行いました。以降は、その記録です。
      HDD容量の全てがデータ記録に使用できるわけではありません。実際に調査したところ下記のようになりました。なお、記録容量は使用するHDDの組合せにより、変化します。
       MASTER SLAVE 記  事
    HDD FB3.2ST FB3.2SE  
    単体容量 3079.12 MB 3079.12 MB  
    記録容量 2984.14 MB RAID1
    表より判るようにHDD容量の97%程度が実際に記録可能な容量のようです。
  8. ミラーリング済みのHDDを他のPCで読み書き可能か?
      ミラーリング済みのHDDを取り外し、他のWindowsPCに取り付けました。起動するとBIOSでHDDを認識する過程でドライブの形式名称が読み取れない場合や、読み取れてもWindowsからはフォーマットされていない状態に見えます。従って、ファイル自体は見えません。このことから、もし、NAS-4000のM/Bが破損した場合は、データリカバリーが不能となります。また、仮に見えたとしても、LINUXで独自の様式でデータが記録されているため、対処は極めて困難でしょう。
  9. 次に、HDDが故障したときのことを想定し、元の容量とは異なったHDDを接続してみました。
        HDD 記録容量 記  事
    MASTER SLAVE
    初期状態 3.2GB 3.2GB 2.98GB  
    交換後 3.2GB 4.5GB 2.98GB  
    表から判るように、記録容量は変化しません。
  10. 今度は、この状態から、さらに大きな容量に交換してみました。
        HDD 記録容量 記  事
    MASTER SLAVE
    初期状態 3.2GB 4.5GB 2.98GB  
    交換後 13.6GB 4.5GB 2.98GB  
    表から判るように、一番最初の記録容量以上には変化しません。
7 おわりに
 取り敢えず、念願の大容量NASが導入できました。しかし、まだ疑問点がいくつか残っていますので、引き続き、解決に向けて取り組んでいきます。

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