1 はじめに 以前から大量のデータを確実に保存する方法について検討してきました。初期には、重要データを数枚のCD-Rに保管していましたが、容量的に不足するようになり、メディアをDVD-RAMに変更したもののデータの急速な増大には追い付きませんでした。 近年は、先代のメインマシンをファイルサーバーとして使用し、内蔵した複数のHDDに同一のデータを保存するようになりました。そして、ときどき手動でデータを複数の内蔵HDDにコピーしてきました。しかし、この方法では、意識してバックアップを行わなければなりません。また、ファイルサーバー機はWindows98SEでしたので、電源を投入してから使用できるようになるまで数分を要しますし、立ち上げ時及び電源遮断時に一定のキー操作を行わなければならず、このためのキーボードやモニターも必要となりかさばります。そこで、NAS(Network Attached Storage)の導入を検討開始しました。 2 NASの条件 NASの導入にあたって、満たすべき私の条件は次のとおりです。 (1) 少なくともRAID1(MIRRORING)が行われること (2) PC-9821シリーズ、PC/AT互換機を同時に接続して使用可能なこと (3) Windows98SE、Windows2000、WindowsXpの各OSで接続できること (4) データ容量が160GB以上であること(RAID1時) (5) 本体との接続方式はイーサネット(100BASE-T)であること (6) HDDはトレイ方式で筐体を開けることなく前面から交換可能であること このような条件で探すと、BUFFALOのTeraStation PROシリーズのTS-HTGL/R5、TS-TGL/R5、HS-DTGL/R5、HD-HTGL/R5、IO-DATAのLANDISK TeraシリーズのHDL-GT、HDLM-GWIN、HDLM-Uとなります。また、(6)をあきらめれば白箱(挑戦者)が候補となります。また、(5)をあきらめれば、安価なUSB接続の機種が多数候補に追加できます。 3 NAS-4000の導入 悩んでいた矢先、偶然ですが、ICP Electronics Inc.(iEi)社のNAS-4000を入手しました。これはDISK ONLINE SERVERの愛称がついているNASであり、上記の(4)以外の条件を満たすことから導入を決めました。このNAS-4000シリーズは、台湾で大量に生産されたもののようで、国内では三菱電機やプリンストンなどが取り扱っていたようです。また、海外(アメリカ、ロシア、イギリス、ブラジル、ポーランド、イタリア)でも多くのディーラーがいたようです。
さて、主要緒元は下記のとおりです。
早速、設置を開始することにしましたが、本体のみ入手したため、肝心のマニュアルがありません。ネット上を検索して日本語版と英語版のマニュアルを入手しました。 なお、PCショップ等で入手可能な業務用中古NAS類のマニュアルは意外に入手できません。中古でNASを入手しようと考えている人は、先にマニュアルの入手の可否を調べて購入条件としたほうがよいでしょう。 さて、入手したNAS-4000のマニュアルは50-60ページ程度のもので、ページ数は多いものの文字が大きく、一般のPC周辺機器に比べれば、情報量が圧倒的に少なく判断に迷うことが多々生じました。また、入手したNAS-4000は搭載プログラムが英語バージョンであり、この点でも時々困ることになりました。 4 HDDの取付 入手したNAS-4000にはHDDが搭載されていませんでした。HDDの取付方などはマニュアルには書いてありません。常識の範囲で対処しろと言うことでしょう。そこで、取り敢えずMASTER設定したHDDを1台取り付けました。ここで、取り付けるHDDは領域確保済みとするのか、さらにフォーマット済みとするのか、よく判りません。電気的に壊れる心配はないと思いましたので、領域も確保されていないHDD(FB3.2SE)を取り付けました。 そして、ハブを介してNAS-4000を既存の自宅内ネットワークに接続します。なお、既存のネットワークは、ADSL_MODEM→ルーター→ハブ→各PCという単純な構成です。 さて、NAS-4000の電源スイッチを入れるとワンテンポ遅れて電源が立ち上がり、フロントパネルの液晶ディスプレイに表示が出ます。そして、約2分後には、下記のような表示となりました。
さて、次に初期メニューがブラウザ画面に表示されました。このメニューのなかに領域確保、フォーマットがあり、選択して実行可能であることを確認しました。メニューからこれらを選んで、HDDが使用可能となりました。なお、この段階で使用したHDDはPC/AT互換機で使用していたものです。 つぎに2台目のHDD(FB3.2ST)を取り付けることにしました。同一形状のトレイが4段あったため、これもMASTER設定して取り付けました。そうするとデバイスとして認識もされませんし、1台目のHDDの形式名称であるFB3.2SEの部分が文字化けして ?!!!!???/ などと表示されます。悩んだ末、一般的なATAインターフェイスICには1チップ当たり4台までしか接続できないことを思い出し、1台目はMaster、2台目はSlaveというように設定して、やっと2台とも正常に認識させることができました。このことは説明書には全く記載されていません。不親切ですが、専門家が設置する機器ですのでこれでもよいのでしょう。 今度は、本格的に整備するため、より大容量のHDDを搭載することにしました。例によって段階的に進めることにします。まず、1台目としてWD製のWD1200JB(120GB、7200RPM、8MB)を取り付けます。これはPC/AT互換機に使用していたものです。メニューからフォーマットを選択し、アクセス権を設定して使用可能となりました。適当にファイルを書き込み、他のPCから読み書きできることを確認します。 次に、2台目にはWD製のWD1200AB(120GB、5400RPM、2MB)を取り付けました。電源を投入してメニューからHDDの管理を選びます。RAID1設定とすると2台目のフォーマットが自動的に行われます。ブラウザからHDDの状態チェックを選び、表示させると「Rebuilding 12%」などと表示されます。100%となるにはかなりの時間が掛かりそうです。 HDDが完全にミラーリング状態となるために、どれぐらいの時間がかかるかはケースバイケースなのであまり示されていません。今回、120GBのHDDの場合について実測したところ、下記のようになりました。 120GBのRebuilding 4時間15分 さて、いよいよ、本格的にファイルサーバーとして設定することにします。NAS4000自体はネットワーク接続されたHDDですので、まず、PC内蔵のHDDにおける領域確保に相当する操作が必要です。メニューから領域確保を選択し、DRIVE1とDRIVE2という名前の領域を確保しました。この利用可能な2つの領域の大きさは、特に指定しないと2台のHDDのうち容量の少ない方の値となるようで、それぞれ105GB程度となりました。これは、容量を指定しなければ、DRIVE1とDRIVE2という二つのネットワークドライブができ、それらの領域を合計して105GBということです。 5 アクセス権の設定 NAS-4000とケーブルを接続しただけでは、データにアクセスできません。各PCをクライアントとしてユーザー設定する必要があります。メニューからUSER MANAGEMENTを選び、設定しました。次に、NETWORK SHARE MANAGEMENTを選んでフルアクセスかリードオンリーかアクセス禁止かを設定していきます。 完了すれば、各PCからはマイネットワーク→ワークグループ→NAS-4000の順に選び、ネットワークドライブとして設定します。 6 使ってみて
取り敢えず、念願の大容量NASが導入できました。しかし、まだ疑問点がいくつか残っていますので、引き続き、解決に向けて取り組んでいきます。 [NAS関係インデックスに戻る] [トップページに戻る] |