1 はじめに データを高い信頼性で保存するため、NAS-4000を導入しましたが、NAS-4000内のHDDはPC/AT互換機では読めないようなフォーマットでした。したがって、もし、NAS-4000のM/Bが破損した場合は、読み出すことができず、大量のデータを失うことになります。そこで、NAS-4000をもう1台探したのですが入手できなかったため、同一メーカー製のNAS-2000を購入しました。これは、M/Bや制御方式、HDDのフォーマット等が共通である可能性が高く、HDDを移設して読めるのではないかと淡い期待を持ったからです。 2 NAS-2000の概要 NAS-2000は、SOHO用、家庭用に位置づけられているRAID0,1,JBOD対応のNASです。 まず、外観、内部は下記のようになっています。
仕様は下記のとおりであり、NAS-4000の下位機にあたります。NAS-4000との違いは、形状、HDDの内蔵台数が2台までであること、冷却ファンの監視機能がないことなどです。
3 使用感 使用してみて感じたことは下記のとおりです。 (1) ファン騒音が小さい。 2台ある40mm角ファンの騒音は小さく、一般的な家庭用外付けHDD程度です。NAS-4000はかなりの騒音がするので、それに比べれば大変静かに感じられます。 (2) メンテナンス容易な構造 コンパクトで薄い形状ですが、設置面積をとるのが難点です。また、立てて使用することも困難です。しかし、天板を外すとHDD等には容易にアクセスでき、メンテナンスしやすい構造となっています。 (3) 137GB超に対応 NAS-2000には内蔵HDDの種別によっていくつかのモデルがあります。40GB×2台、80GB×2台、120GB×2台、160GB×2台などがあります。今回入手したものは元々80GB×2台のモデルでした。動画データが無く、文書データ保存中心である私の用途では容量的に十分です。 NAS-2000の後期モデルには160GB×2台内蔵モデルがあったことから、入手したNAS-2000で実験したところ少なくとも750 (4) 容易なネットワーク設定 電源を投入してしばらくすると液晶画面に表示されるIPアドレス(例えば、192.168.0.3)をIE6.1やNetscapeNavigator7.1などのブラウザに入力することにより、設定ウインドウが開き、表示にしたがって入力していくことによりマニュアルなしでネットワーク関係の設定ができました。なお、マニュアルについてはネット上で日本語、英語、中国語のものが入手でき、これを見ながらのネットワーク設定はさらに容易です。 4 特記事項 マニュアルに記載が無く、使用しなければ判らない事柄について下記に示します。 (1) HDDの接続と設定 HDDは2台まで内蔵可能です。HDDは別々のポートに接続されており、それぞれMaster(Single)設定します。 (2) HDD交換時の注意 ACプラグがコンセントに差し込まれていると、電源切りであっても電源出力の一部(+5VSB)がでており、M/B上の赤色LEDが点灯しています。したがってHDDの交換はACプラグを抜いた状態とし、無加圧状態で行わねばなりません。 (3) 装置としての記憶容量と内蔵HDD容量の関係 NAS-2000は、MS-DOSフォーマット以外の特殊なフォーマットを採用しており、OSはUNIX系と推定されます。また、RAID動作を管理するため、HDDの一部領域をOSが使用しているようです。そこで、手持ちのHDDでテストしたところ、次のようなことが判りました。
以上より、RAID0/1にしろ、論理ドライブのファイル管理のため、約32.07MBを使用しているようです。また、RAID1でHDDが破損の際、同等容量のHDDに交換することになりますが、同じ160GB級HDDでも、メーカーごとに物理容量が多少異なるため、公称容量−8%程度以上であれば代替可能としているようです。 また、RAID1を構築したとき、「最初の設定容量」が以後引き継がれます。例えば、物理容量4.3GBのHDD2台でRAID1を構成すると記録可能な容量は4.0GBとなります。このうちの1台を交換し、物理容量を4.3GB+6.4GBとし、REBUILD(HDDの一方を交換後、2台のHDDがミラーリング状態に再構成されること)が終了すると記録可能容量は4.0GBとなります。つぎに容量の小さい4.3GBのHDDを交換し、8.4GB+6.4GBとします。REBUILDが終了すると記録可能容量は4.0GBとなり、物理容量が2台とも大きくなったにもかかわらず当初の記録可能容量は増えません。 (4) 最大容量 NAS-2000には容量の異なるいくつかの製品があり、内蔵容量には80GB×2、120GB×2などがあります。対応可能な最大容量はM/Bの製造時期ごとに多少異なるようです。今回購入したNAS-2000(80GB×2、OSのVersionは2.27)で実験してみると、750 (5) HDD故障時の挙動 何らかの原因でRAID1のHDDの片方が破損したときは本体内蔵の電子ブザーが30秒程度連続鳴動します。このようなときは故障したHDDを元のHDDと同等以上の容量のHDDに交換します。すると、新しいHDDに何が記録されていようと、自動的にフォーマットしてREBUILDを開始します。なお、HDDの破損をシミュレーションするためには、RAID1設定としたのち、電源を切り、HDD1台を外し、ドライブが認識されなくなった状態としました。 (6) RAID1動作 2台のHDDを取付け、RAID1設定します。すると、装置はミラーリングを開始します。HDDの状態表示をさせると何パーセント済んだかを表示します。100%完了する前にNAS-2000の電源を切ると、外部との接続を断ち、しばらくしてシャットダウンします。つぎに電源を再投入し、状態を見ると、ミラーリングをやり直しています。 完全にミラーリングが終わった状態であるとNAS-2000の電源を切り再投入しても、完全ミラーリング状態は維持されています。 (7) データ記録済みHDDの移動 NAS-2000でRAID1構築したHDD2台をそのままNAS-4000に接続するとどうなるか試してみました。結論は読めませんでした。また、NAS-2000でRAID1構築したHDD2台を後日取り付けても使用できませんでした。即ち、RAID1構築したHDD2台に何か記録します。電源を切った後これを取り外し、別のHDD2台で改めてRAID1構築し、データを記録するなどして使用します。そして、この2台を取り外し当初のHDD2台を取り付けると最初の記録内容は読めません。挙動を見ているとHDDに記録する際、HDDの容量など何らかの情報が本体のフラッシュROM等に記録されるようです。 5 その他 NAS-2000が販売されていたのは、2001-2004年頃であり、企業に使用されている場合のリース期間(3〜5年程度)を考慮すると今後中古市場で入手できる可能性があります。この種の機器はサーバールームで使用されることが多く、内部、外見とも綺麗なものが多いことから中古導入のメリットは十分在ると感じました。 しかし、マニュアルの入手、RAID5動作や1TB超の容量を望むのであれば、製品保証があるIO DATAやBUFFALO製の新品を購入したほうが良いと思います。 [NAS関係インデックスに戻る] [トップページに戻る] |