水没VL-1530Sの修理
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2015. 9.20 Ver. 1. 2 カウンタ再開
2010.11. 8 Ver. 1. 1 カウンタ廃止
2004. 7.20 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに

 映らないと言う富士通製液晶ディスプレイ「VL-1530S」をタダ同然で購入しました。店頭で通電試験をさせて頂くとパイロットランプが点灯し、画面は真っ赤です。この機種は電源が内蔵であり、ACアダプタが不要であるため、購入して修理にチャレンジすることにしました。

2 修理
 早速、持ち帰り、通電しようとしたところ、脚部に薄く泥が付いているのに気づきました。通電せず、分解してみると、なんと冠水品でした。水没品・冠水品の修理には注意が必要です。なぜならば高圧部分が水分のため、絶縁破壊していることが多いからです。決して、不用意に通電してはなりません。
 パソコンにお茶やコーヒー等をこぼしてしまうこともあるため、その参考として修理の様子を示すことにしました。
画  像 コメント
注  意  乾燥することなく、絶対に通電してはなりません。永久破壊につながります。
 まずは、通電せず分解です。冠水した状態で通電すると永久破壊することが多いため、焦らず分解・清掃から始めます。
 ビスがたくさんありますので、袋などに整理しながら分解していきます。
 左は、液晶本体とフロントベゼルです。
 プリント板の保護カバーやコネクタ類を外します。
 金属部分やベゼルが汚れており、冠水品であることが判りました。
 保護カバーやベゼルは取り外して温水洗浄し、水分を拭き取った後、ヘアドライヤーで乾かします。
 プリント板を取り外し、注意深く目視点検します。泥が付いていたため、思い切って水洗しました。水洗後、水分を拭き取り、すぐに、ヘアドライヤーで温風乾燥します。プリント板付近に手を置き、人間の手が耐えられるレベルであれば、プリント板を壊すことはまずありません。特に、電解コンデンサの取付部、高周波トランス、ICのpin部、コネクタ部分は、毛細管現象で水分が残りやすいため、念入りに乾燥させます。
 液晶本体です。水洗するわけには行きませんので、無水エチルアルコールで拭き取ります。水分を含んだエチルアルコールは水分が残りますので、使用してはなりません。また、メチルアルコールはプラスチック類を痛めるため、これも使用してはなりません。
 液晶のバックライト部分とフィルター類です。バックライトは簡単に割れてしまいますので、慎重に取り扱います。
 これらも無水アルコールで丁寧に汚れを拭き取ります。
 フィルターには裏と表がありますので組み立て時に注意します。
 液晶と制御回路部分です。フィルム部分は壊さないよう注意して取り扱います。
 これらも無水アルコールで丁寧に汚れを拭き取ります。
 液晶のフレーム部分です。これらは金属ですから温水洗浄し、水分を拭き取っておきます。
組み立て  組立は分解と逆の手順で行います。
単体通電試験
まず、信号ケーブルを接続しないで通電試験します。
 電源を入れたらすぐに臭いを嗅ぎ、異臭がしたらすぐに電源をプラグ部分で切ります。
 特に異臭がしなければメニューボタンを押し、セルフチェックを行います。この時点で、各種メニューの表示が正常であれば、ディジタル回路部分は正常と判断します。
 今回のVL-1530SはメニューでリセットをかけるとERRORとなりました。
10 組合せ通電試験
 つぎに、映像信号を入力して通電試験します。VGAまたはXGA程度の解像度で試験すると良いでしょう。
 左の画像ではモアレが出て見づらいですが、無事修理ができました。
11 故障原因  今回の故障原因は、3のプリント板内で異物によりパターン同士が短絡していたためです。
 これを見つけるために、分解、各部目視点検、組立を数回繰り返しました。

3 おわりに
 今回は運良く修理ができ映るようになりました。冠水品の修理には根気がいります。はやる心を抑え、十分乾燥してから通電することが重要です。修理には合計して約10時間かかりました。、
 なお、これまでの経験から、コーヒーなど糖分を含む飲料や腐食性成分を含んでいると思われるコーラがかかった機器の修理は、少しでも早く水洗または無水エチルアルコールによるふき取り、乾燥が必要です。

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