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2021. 9.20 |
Ver. 1. 3 |
カウンタ再開 |
2011. 5. 3 |
Ver. 1. 2 |
画面表示情報追記 |
2010.11. 8 |
Ver. 1. 1 |
カウンタ廃止 |
2004. 9.27 |
Ver. 1. 0 |
公開初版 |
1 はじめに
IBM製のLCD「9516-B04」型が夏目さん3人分で安価に売られているのを見つけました。例によってJUNKです。店頭で通電テストをさせて頂いたところ、電源のパイロットランプは点灯するが、画面は暗闇という状態でした。多少迷ったのですが、ACアダプタ付でしたので、まあ何とかなるだろうと思い、購入しました。
結果は、上々でした。以下、顛末を示します。
2 仕様
仕様は下記の通りであり、高級機といえます。また、「PC-9821シリーズ正式対応」という、IBMにしては珍しい機種でもあります。
項 目 |
内 容 |
記 事 |
メーカー |
IBM |
|
形 式 |
9516-B04 |
|
方 式 |
TFT |
|
画面サイズ |
12.6x10.1inches (319mm x 255mm) |
17inches CRT以上 |
最大解像度 |
SXGA 1280 x 1024 16.7-million colors |
|
水平同期周波数 |
31.0-85.0kHz |
保証されていないが24.8kHz動作可能 |
垂直同期周波数 |
55.0-75.0Hz |
|
輝 度 |
200cd/u |
|
重 量 |
9.9 kg |
|
サ イ ズ |
408H×431W×250D |
|
AC ADAPTER |
入力 |
AC100-240 V 50/60 Hz 82-105VA |
AC ADAPTER
P/N:49G2193
補修用P/N:49G2197 |
出力 |
DC20-10V 2.00-3.38A |
消費電力 |
55 W |
スタンバイ時は25W以下8W程度 |
信号入力端子 |
R,G,B,VSYNC,HSYNCの全てがBNC入力 |
|
入力インピーダンス |
RGBは75Ω |
|
入力信号 |
0.7VP-P |
|
表 示 |
フルスクリーン表示可 |
5%単位で拡大設定可能 |
表示位置自動設定 |
|
そ の 他 |
PC-9821の640×400表示に正式対応 |
水平同期信号が31.5kHzの場合に限る。
保証されていないが、24.8kHzでも動作する。 |
3 画面表示
画面表示は下記の通りです。
Type |
Screen Resolution
(H × V) |
Hsync(kHz) |
Vsync (Hz) |
記 事 |
VGA |
640 × 350 (NI) |
30〜40 |
69〜88 |
|
640 × 400 (NI) |
30〜40 |
55〜88 |
PC-9821のDOS画面 |
640 × 480 (NI) |
30〜66 |
59〜120 |
|
720 × 350 (NI) |
30〜40 |
69〜88 |
|
720 × 400 (NI) |
30〜40 |
55〜88 |
|
SVGA |
800 × 600 (NI) |
34〜76 |
55〜120 |
|
800 × 600 (I) |
30〜40 |
43〜50 |
|
832 mode |
832 × 624 (NI) |
48〜50 |
73〜75 |
|
XGA |
1024 × 768 (NI) |
48〜80 |
59〜100 |
|
1024 × 768 (I) |
30〜40 |
40〜50 |
|
SUN and others |
1152 × 864 (I) |
40〜60 |
45〜50 |
|
1152 × 882 (I) |
40〜60 |
45〜50 |
|
1152 × 864 (NI) |
60〜90 |
60〜90 |
|
1152 × 870 (NI) |
60〜90 |
60〜90 |
|
1152 × 882 (NI) |
60〜90 |
60〜90 |
|
1152 × 900 (NI) |
60〜90 |
60〜90 |
|
SXGA |
1280 ×1024 (I) |
40〜60 |
40〜50 |
|
1280 × 1024 (NI) |
64〜80 |
60〜75 |
|
注 (NI): Noninterlaced (I): Interlaced
SUN and others欄は全て1152x900で動作
Video周波数は135MHz以下
4 修理前の状態
外観では割れや大きな打ち傷はありません。画面に多少擦り傷がありますが、我慢できる範囲です。
通電するとLEDが点灯します。この機種では入力がないとブルースクリーンになるはずですが、真っ暗闇です。
5 修理開始
まず、分解です。分解すると基板や液晶パネルが見えます。外部からの信号入力は全て同軸ケーブルであり、一般的なpinコネクタではなく、インピーダンス整合を考慮したシールドタイプのコネクタで接続されています。
特に異常な箇所が見あたらないので、電源電圧の確認をします。電源入力は20V、基板上の電源ラインは5.0Vであり、正常と判断できます。
なお、AC ADAPTERの定格表示は、出力電圧20-10Vとなっており、安定化されているのかどうか不明です。また、AC ADAPTERには、ON指令信号を送る配線もあります。従って、この種の液晶ディスプレイはAC ADAPTERが付属していない場合は購入しない方がよいでしょう。後々、電源で苦労することになります。
全てのコネクタを外し、プリント板や接続部を清掃したところ、取り敢えずセルフチェック画面だけは映るようになりました。内部コネクタの接触不良が原因だったようです。
画 像 |
コメント |
|
PC-9821Ra266W30Rに接続して起動するとこのようになりました。 |
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何も接続せずに本体背面のスイッチを操作するとこのような画像が表示されました。このことから液晶表示のうち、ディジタル表示部分は正常と判断しました。 |
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原因を切り分けするため、信号入力がBNC接栓であることを利用し、R,G,B,Hsync,Vsyncの各信号を一つずつ入力していくことにしました。
まずは、Hsync信号のみです。左の画像のように正常にHsync信号の周波数が表示されます。 |
|
つぎに、Vsync信号のみ入力します。左の画像のように正常にVsync信号の周波数が表示されます。 |
|
つぎに、Windows画面を表示させようとすると、Hsync信号の周波数が0、Vsync信号周波数が高すぎると表示されます。
このように、HsyncとVsyncをそれぞれ単独で接続したときは、正常な周波数が表示されますが、同時に接続すると左記のようになります。
どうやら、HsyncとVsync信号が混触しているようです。 |
|
そこで、映像処理用プリント板部分のコネクタを接続し直し、映像処理用と思われるLSI周辺の清掃をしたところ、正常動作となりました。 |
6 おわりに
使用してみて高級機であることを実感しました。各種解像度における表示位置、同期周波数、位相、色調等々を細かく設定し、プリセットできます。また、液晶自体が水平方向に1280ドットであり、丁度640×400ドットのDOS表示時の2倍となることから、大変綺麗に表示されます。
強いて、不満を言うなら、1024×768フルスクリーン表示時にギザギザ表示となることですが、これは原理上避けられません。
価格は、下記のように大変な金額です。新品ではとても買えません。
1997年12月 5日 790,000円 発表時
1998年 2月12日 580,000円 価格改定
1998年 4月16日 470,000円
1999年 7月12日 258,000円
1999年10月20日 198,000円
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