7537-01
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2022.11.23 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに
 横河電機製のデジタルマルチメーター7537-01を久しぶりに使用しようとしたところ、液晶の表示が3秒ほど出てすぐに消えてしまいました。電池を交換して試してみましたが今度は液晶の表示も出ません。一週間後、電源を入れたところ、今度は液晶表示が1秒程度出てすぐに消えてしまいました。電源を再投入しても全く何の変化もありません。
 詳細に目視点検し、電池からの漏液により、プリントパターンが腐食し、断線していることが判明しました。


仕 様
 仕様は下記のとおりです。意外に7537各種の仕様はインターネット上では少ないです。

試験環境: 温度 23°C ± 5°C, 相対湿度 80%以下;確度: ± (% of レンジ + カウント)
形   式 7537-01 7537-02 7537-03 7537-04
表 示 器 デジタル表示:4000カウント;バーグラフ:40 セグメント
バックライト - - -
測定間隔 デジタル表示: 2.3 回/秒; バーグラフ 23 回/秒



直流電圧 400.0 mV 〜 1000 V 40.00 mV 〜 1000 V
確度 0.3% + 1カウント 0.2% + 1カウント 0.1% + 1カウント
交流電圧 40.00 mV 〜 1000 V 40.00 mV 〜 1000 V
確度 1% + 2カウント 0.5% + 2カウント 0.7% + 3カウント(真の実効値)
直流 + 交流電圧 - 4.000 〜 1000 V
確度 1% + 4カウント(真の実効値)
直流電流 400.0 μA 〜 10 A
確度 0.5% + 2カウント
交流電流 400.0 μA 〜 10 A
確度 1.5% + 5カウント 1.5% + 4カウント (真の実効値)
抵  抗 400.0 〜 40.00 M
確度 0.5% + 1カウント 0.2% + 1カウント
周 波 数 5 Hz 〜 99.99 kHz 2.00 Hz 〜 200.0 kHz
温  度 -50°C to 150°C (with thermistor sensor) -50°C to 70°C
(with type K thermocouple sensor)
-50°C to 150°C
(with thermistor sensor)
静電容量 - 10 nF 〜 1000 μF
導通チェック 約20Ω以下で電子ブザー鳴動
その他機能 最大値/最小値メモリ, 相対値計算, データ/自動ホールド,過電圧警告表示, ダイオードテスト
絶縁耐圧 5.55 kV AC for 1 分間 (入力端子とケース間)
電  源 単3×2本 AA (LR6 or R6)
オートパワーオフ 操作終了後、約30分 (非設定可能)
寸  法 87 (W) x 190 (H) x 39 (D) mm
重  量 約 420 g (電池含む) 約 440 g (電池含む)
準拠
規格
Safety EN61010-1 (1993); EN61010-2-031 (1995) (AC/DC 1000 V, CAT II; AC/DC 600 V,CAT III)
EMC I: EN50081-1 (1992); EN55022 (Class B) EMS: EN50082-1 (1992)
標準添付品 取扱説明書: 1, テストリード 1組 (RD031): 1,単3電池 AA cells(内蔵): 2,予備ヒューズ F05 (500 mA/250 V): 1


3 各部の状態
 まず、内部の状態を示します。画面上でほぼ原寸大です。
電流測定端子用バナナジャックのシャッター開閉スライドつまみがあります。 フロントパネルは判りやすいです。電流測定を意識させるため、テスターリード差込口には物理的なシャッターが設けられています。左側のスライドスイッチつまみ状のプラスチック部品を上下しますが、かなり堅いです。 作りはしっかりしています。特にバナナジャックは、安価品のようにプリント配線板ではなく、ケースに取り付けられています。テスターリードを抜き差ししても簡単には壊れません。  リアパネルには立てて使用できるよう脚が付いています。

4 故障修理
目視点検するうち、電池ケースのところに水色の結晶があるのを見つけました。電池の端子には漏液跡もありませんし、電池自体にも漏液はなかったので不思議です。
更に拡大してみると明らかに漏液跡です。
よく見ると中央のプリントパターン銅箔が溶けて無くなっています。
プリントパターン銅箔の表面のコーティング被膜とプリント配線板の間で銅箔が溶かされ、毛細管現象で進行していきます。
水色の結晶を除去するため、電池ボックスを外してみると結晶が付いています。
電池ボックス下のプリント配線板側にもたくさん付着しています。
水色の結晶を除去すると左側のパターンは切れる寸前、右側のパターンはスルーホールも完全に溶けてしまっています。なお、水色の結晶は、無水エチルアルコール、針、爪楊枝、キッチンペーパー等を使用して徹底的に除去しました。
細い電線で修復します。極細のはんだごてこて先を使って、細い電線をはんだ付けし、修復します。パターンの幅が0.5mm以下なので大変難しいです。
プリント配線板の反対側まで細い電線を通し、もともと接続されていたパターンまで接続して修復します。
判りにくいですが、電池ボックスと基板の境目が修復箇所です。

5 その他
 

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