LP-2020A+について
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2015. 2. 1 Ver. 1. 0 公開初版

1 はじめに
 LepaiLP-2020A+を購入して約1年になります。インターネット上では各種の改造や音質の評価などが公開されています。しかし、内部回路については正確に記載されているものがほとんどありません。そこで、実際に調査した内部回路と定数を公開することとしました。この調査には結構手間がかかりました。
 誤記が多少はあると思いますので、お気づきの方はメールにてお知らせいただければ幸いです。

2 LP-2020A+について
 LepaiLP-2020Aはいわゆるデジタルアンプと呼ばれているものであり、調べた限りでは下記のような仕様となっています。但し、大変多くのリビジョンがあり、使用部品が異なることから、個体差が激しいアンプといえます。このため、使用されているICやコンデンサを交換して高音質を追及するディーラーやユーザーが多いです。
項目 仕様 記事
1 構成 2ch  
2 トーンコントロール 不明 DIRECTとTONEのプッシュボタン切り替え
3 入力インピーダンス 不明 1kΩ程度
4 出力 20W/4Ω BTL出力。電源電圧12.0Vでは理論的にこのような出力は得られない。IC自体の定格では、電源電圧が13.5V時に4Ω負荷で22W、8Ω負荷で13W。
5 負荷インピーダンス 4〜8Ω アースに対して全端子がフローティングのため、注意
6 付属機能 不明 電源投入時のミューティング
7 入力端子   RCAピンジャック及び3.5mmステレオミニプラグ
8 出力端子    差し込みタイプ 
回路構成上ヘッドホンの直接接続は不可(内部回路が破損します)
9 電源電圧 DC12V 付属のACアダプタは12.0V 5.0A出力であったが、付属していない商品や3A程度のものを付属させているディーラーもある。
10 使用半導体   TA2020-020×1個 4558相当品×2個
 さて、LP-2020A+の内部構造です。
画像 コメント
1  リアパネルです。最低限の入出力端子類です。
2  内部基板の様子です。プリント基板のシルク印刷には「LEPAI」ではなく、「LEPY」と記されています。
 残念ながら特に高品質な部品は使用されていません。
空間がそこそこあるため、部品の交換や追加ができそうです。
3  アルミ押し出し材の筐体です。筐体自体をビスやボルトで固定できるような形状となっています。
4  フロントパネルには、シルバーとブラックがあるようです。
5  内部基板の底側です。両面プリント基板です。
 電源側の電解コンデンサ端子付近のパターン(基板中央左端)を見ると一応は1点アース的な配慮がなされていることがわかります。
6  付属のACアダプタです。ディーラーによって添付の有無、容量や形式が異なっているとのことです。私はDC12V5AのACアダプタが添付されていることを確認したうえで購入しました。
7  パッケージです。特記すべき事項はありません。

3 LP-2020A+の内部回路
 LP-2020A+の内部回路については、下記のとおりです。


    
 LP-2020A+の内部回路図

 回路図から判るように、OPアンプによる反転アンプ、NFB型トーンコントロールアンプ、TA2020-020によるT級パワーアンプという構成になっています。この回路図は、リビジョンが2013年8月28日時点と思われる「130828PCB」となっています。
 送料込みで2,680円という価格にしては良い音質です。しかし、詳細に見ていくと問題点がいくつかあります。以下、それを示します。
(1) DIRECT選択時、位相が反転する。
 「TONE(トーンコントロール有)」と「DIRECT(フラット)」がスイッチで選べるようになっていますが、問題はDIRECT選択時です。DIRECT選択時はOPアンプU2により、
位相が反転されたままでメインアンプに入力されるため、トーンコントロールツマミを操作してフラット状態にしたものとは異なります。また、TONE選択時につまみを中心位置としても周波数特性はフラットとはなっていません。このような回路構成でも良い音だという評価があるのは、不思議です。
(2) 周波数特性がそれほど良くない。
 使用されているOPアンプは4558です。チップにJRCと書いてありますが、JRC本来のロゴとは違い、真のメーカーは不明です。4558は2回路入り汎用OPアンプであり、決して高域特性は良くありません。可聴周波数の上限20kHzでもゲインが40dB程度しかありませんので、NFB型トーンコントロール回路では高域のループゲイン不足となります。また、反転入力と出力の間にコンデンサC40-43(180pF)が使用されており、高域ゲインがさらにカットされています。高域の伸びが悪いなどと評価されているのはこれが原因です。
(3) 低品質の可変抵抗器
 コストダウンのため、安価な開放型可変抵抗器が使用されています。これはコストから考えて致し方ないものと思います。

4 改良の方向性
 いろいろと欠点のあるアンプですが、コストパフォーマンスは良いため、利用価値は十分あります。また、多少の手を入れることにより、さらに良い音となるものと思われますので、改造マニアにとってはたまらない一品です。改良するとすれば下記が考えられます。
(1) 4558の交換
 もう少し広帯域、低雑音のOPアンプに交換すると良いでしょう。多様な選択が考えられます。
(2) 結合コンデンサのオーディオ用フィルムコンデンサ化
 現在使用されている積層型はオーディオ用としては最悪です。外形は大きくなりますが、フィルムコンデンサに交換するだけで相当改善されます。
(3) TA2020-020の出力オフセット調整
 電源投入時のスピーカーからの音は精神衛生上良くありません。ここはオフセット調整回路を追加すべきでしょう。また、OPアンプ回路用の電源回路のコンデンサを大容量とすることも有効です。
(4) ダンピングダイオードの追加
 TA2020-020のダンピングダイオードが一部省略されています。もともとの基本回路に従い、ショットキバリア形ダイオードを追加すべきです。
(5) 可変抵抗器の交換
 これは、必須でしょう。 2連可変抵抗器のギャングエラーを考えると早急に実施すべきです。
(6) 電源電圧の変更
 さらに大出力を期待するなら、電源電圧を16.0Vまで上げることが可能です。これ以上はTA2020-020や電源回路の電解コンデンサの耐電圧から不可能です。
(7) 入力バッファアンプの追加
 入力インピーダンスを一定にし、前段機器の出力インピーダンスの影響を最小限とするため、入力バッファアンプを追加すると良いでしょう。

5 おわりに
 価格の割には高音質の機器なので気楽に使用する用途に適しています。機会を見て改造したいと思います。

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